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バセドウ病とは?

甲状腺機能亢進症の代表的な疾患であるバセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで全身の代謝が異常に活発になる自己免疫疾患です。特に女性に多く、男性の約5倍の発症率があります。
バセドウ病の主な特徴
- 常にジョギングをしているような状態になり、脈拍が速くなる(新陳代謝の亢進)
- 発汗の増加・暑がり(少しの運動でも大量の汗をかく)
- 食欲が増すが体重が減る、または食べすぎて逆に増えることもある
- 眼球突出(目が飛び出して見える)
- 首が太くなり気づくが、自分では気づきにくいことが多い(甲状腺の腫れ)
※眼球突出は、喫煙者に多いため禁煙が重要です。
※高齢者は甲状腺の腫れが少ないため見逃されやすいです。
バセドウ病の原因
バセドウ病は、免疫の異常により自己抗体(TSH受容体抗体:TRAb)が産生されることが原因です。この抗体が甲状腺を常に刺激し、過剰なホルモン分泌を引き起こします。
バセドウ病の影響は全身に
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、次のような症状が現れます。
影響部位 | 主な症状 |
---|---|
全身 | 暑がり、疲れやすい、だるい、体重減少または増加 |
体温 | 微熱 |
顔つき・首 | 目つきが鋭くなる、眼球突出、甲状腺腫大 |
神経・精神 | イライラ、不安、落ち着きがない、集中力低下、不眠 |
循環器 | 動悸、頻脈、心房細動、心不全、息切れ、むくみ |
消化器 | 食欲の増減、口の渇き、軟便、排便回数増加 |
皮膚 | 発汗増加、脱毛、かゆみ、皮膚の色が黒ずむ |
筋骨 | 筋力低下、手足の震え、骨粗鬆症、周期性四肢麻痺 |
生殖 | 月経不順、無月経、不妊 |
血液 | コレステロール低下、血糖上昇、血圧上昇、肝機能障害 |
バセドウ病の3つの治療法
薬物療法(抗甲状腺薬)
- 外来で開始できる最も一般的な治療法
- 再発の可能性があるため、長期間の経過観察が必要
- 2年以上の治療で寛解しない場合は別の治療を検討
放射性ヨウ素(アイソトープ)治療
- 甲状腺を小さくし、機能を低下させる治療
- 効果が確実だが、甲状腺機能低下を引き起こす可能性がある
- 妊婦・授乳婦は適応外
甲状腺摘除術(手術)
- 短期間で確実な治療が可能
- 再発の可能性が低い
- 入院が必要で、手術痕が残る
内分泌内科の専門医が在籍するおおしま糖尿病・甲状腺クリニックでは患者さまの状態に応じて最適な治療法をご提案し、眼科の専門医とも連携して眼球突出の治療もおこなっています。
橋本病とは?

甲状腺機能低下症の代表的な疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)は、甲状腺ホルモンが不足することで代謝が低下し、全身の機能が鈍くなる病気です。無気力や物忘れが進行すると、認知症と誤診されることもあります。
橋本病の主な症状
- 寒がりになる(低体温になる)
- 疲れやすく、気力が低下する
- 体重増加(食欲が低下するが太る)
- むくみがひどくなる(顔、首、全身)
- 声がかすれる
- 皮膚が乾燥し、髪の毛が抜けやすい
- 物忘れ、無気力、集中力の低下
橋本病の原因
橋本病は、自己免疫の異常によって甲状腺に炎症が生じ、徐々に機能が低下する病気です。抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)が陽性となります。
橋本病の治療
橋本病の治療は、甲状腺機能低下の程度によって異なります。
甲状腺ホルモン補充療法(合成T4製剤)
- 甲状腺ホルモンが不足している場合に補充
- 長期間の治療が必要だが、副作用が少なく安全
ヨウ素制限
- ヨウ素を多く含む食品(昆布、海藻)を控える
- 過剰なヨウ素摂取が病状を悪化させるため注意が必要
定期的な経過観察
- 甲状腺機能が正常なら基本的には治療不要であるが定期的な通院が必要
- 大きく腫れている場合は薬で腫れを抑える
当クリニックの治療方針

おおしま糖尿病・甲状腺クリニックでは、バセドウ病・橋本病をはじめとした甲状腺疾患の診断・治療をおこなっています。甲状腺疾患は早期発見が重要であり、適切な治療を受けることで日常生活に支障なく過ごすことが可能です。
甲状腺疾患の診断・検査
甲状腺エコー検査(甲状腺超音波検査)を医師が実施し、正確な診断をおこないます。
血液検査とエコー検査により、当日に結果がわかることもあります。必要に応じてホルモン測定をおこない、甲状腺機能をしっかりと確認します。
治療方針
- バセドウ病・橋本病の進行を早期に発見し、患者さまに適した治療プランをご提案
- 妊娠希望の方には、適切なホルモン管理をサポート
- 甲状腺腫瘍が大きい場合の治療方針も提携病院に速やかにご紹介、術後もサポート
橋本病やバセドウ病は、適切な治療を受けることで、健康な人と同じように運動、仕事、妊娠・授乳などを問題なくおこなえます。「最近疲れやすい」「寒がりになった」「動悸がする」などの症状がある方は、一度甲状腺の検査を受けることをおすすめします。
おおしま糖尿病・甲状腺クリニックでは、専門医による診察と検査をもとに、患者さまお一人ひとりに合った治療をご提供しております。どうぞお気軽にご相談ください。